読みきり原稿第二弾 治療患者さんと向き合うということ
今年の腫瘍学会の会場で仙台の緑を見ながら長野市民病院の鈴木さんと話をしていたら、治療における患者さんへの対応について、とても大事なことなのにあまり注目されないですねという話になりました。
人とのかかわりについて少し勉強をして産業カウンセラーとキャリア・コンサルタントを取得されたそうで、最近、少し深いかかわり方をすることで治療がスムーズに行った症例があったとその経験のお話をしてくださいました。
このあたりの話題は関心を持ってくれている人がきっといると思いますので、少し文章にして書いてみてもらえませんかとお願いしたところ悩みながらもやってみますという返事をいただきました。最初にいただいた文章はその症例について詳しく書いていただいたのですが、考え方や対処法など一般的なことについてもうちょっと書いていただきたいと思い、お願いのためにメールで連絡を取り合いました。
最終的にいただいた文章を紹介する前に、そのやりとりのメールに中にも鈴木さんの考えのエッセンスがあるように思い、そちらも合わせて紹介させてもらうことにしました。
長野市民病院 鈴木 隆さんとの往復書簡から
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鈴木さんからのメール(以下 S):
腫瘍学会ご苦労様でした。
会場でお話した内容を文章にして見ましたが、作文能力に書けるスズキですので、文章だけが長く肝心なことが伝わらないのではないかと思っています。
ただ、我々はサービス業で、相手の患者さまはかなり期待をして病院に来ているのに、期待通りの結果がなかなか得られない。
また、いろいろな局面で我慢をしている、あるいは我慢を強いられているので、ある時爆発してしまうのだと思います。
事故をきっかけに、大方の放射線治療技師が物理志向にある現在でありますが、スズキは頭が悪く物理が得意でないということもありますが、患者とのコミュニケーション重視の放射線治療技師に専念したいと思います。
しかし当然のことながら、必要最低限の品質保証は行います。
患者対応改善の一つのきっかけになれば本望です。
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薮田からの返信:(以下 Y)
さっそくありがとうございます。
確かに全般に物理、技術志向が当然強く、患者さんの対応についてはあまり重視されていないというか、現場の担当者の感覚に任されているのが現状ですよね。
治療の現場で患者さんの気持ちについてちゃんと考えてあげたほうがよいというのは漠然と多くの人が思っているでしょう。その必要性について誰かが何かを発信してくれればよいのにと思っているのではないかと思われます。
今回の文章について、患者さんとの関わりの有効性を紹介するのに個別の症例でうまくいったことから取り上げるのでなく、一般的に受け入れられている考え方が治療の現場にも必要であることを訴え、その考え方はどのようなものであるかを紹介するという手順を踏んで、それからその考え方を使ってこんなことがうまく改善されたという紹介をしたほうがよいのではないか思ったりするのですがどうでしょうか。
個別の症例から有効性の話につなげるとたまたまその人がうまくいっただけではないかと勘繰られることもあるかもしれません。
現場では話し掛けて話が長くなってしまうと他の患者さんに迷惑がかかる、また、そんな仕事は看護師の仕事、あるいはDrと話をしてくれなど、面倒くさいからいやだという考え方もあるでしょう。
個人個人にバックグランドがあり、感じていることや考えていることが違うのでみんなに受け入れてもらうのは難しいかもしれません。しかしこのようなことを考えていると発信するときっと賛同者が数多く出てくると思います。
キャリアカウンセラーを取得されたということですから、それを勉強していく過程で学ばれた一般的な理論を少しおさらいしてもらって紹介してもらえるとその中からいろんな人がいろんなことをまなばれると思います。
少しシリーズで作っていただけるとよいかと思うのですが如何でしょう。
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S:
確かに、一般論の方が受け入れやすいのかもしれません。
> その必要性について誰かが何かを発信してくれればと
そうだと思うのです。
看護師は教育の中で接遇に関することをやりますが、技師の学校で接遇に関することはあまり取上げられていないように感じます。
唯一、それが実習の場であるとしても、実習先によっては何もやらせないところがあるとも聞きます。
そのわりに、患者の協力無しに我々の仕事は成り立つのでしょうか?
協力していただいてありがとう!
そんな気持ちで、日々仕事している人は全体の中でどれほどでしょうか?・・・。
> その有効性を紹介するのに個別の症例から取り上げるのでなく、一般的に受け入れられている考え方が治療の現場にも必要であること
スズキは、まだカウンセラーとしては駆け出しなので、今までの否、今でも日々自分の対応のまずさを感じつつ仕事をしております。ですので、一般論を扱う方が難しいのです。
だから、こういう事例の時はどうした良いですか?と聞かれたほうがまだ答えやすいかもしれません。でも、実際正解というのがないのですよ!
Aさんには良くても、Bさんには当てはまらないことは多々あります。
ちなみに普段のコミュニケーションで、言葉から伝わるものはたった3割だといわれています。
つまり、後の7割は表情・態度・しぐさ・声の調子・声の強さ・・・。 から、伝わるとされています。
『接遇のい・ろ・は』は経験していただくのが何よりと思いますが、時間的にも場所的にも結構難しい問題があります。
> 個別の症例から有効性の話につなげるとたまたまその人がうまくいっただけではないかと勘繰られることもあるかもしれません。
それも仕方のないことだと思っています。
少しでも、見直しをしてくれる人がいれば、スズキ的には充分なんです。
それによって救われる患者さまが一人でも生まれればうれしいことです。
> 面倒くさいからいやだという考え方もあるでしょう。
治療室の迷路は、患者さまにとって自分だけの空間を思わせるのだと思います。
だから、いつも吐露できない素直な気持ちを吐露できるのです。
その吐露できることが、重要なんです。
治療担当技師だけです。 毎日、対応しているのは。
毎日同じ人が対応してくれる、それが信頼関係を生み、安心感が生まれるから、不安な気持ちを吐露できるんです。
ですから、喜ばしいことなのに、面倒なんて・・・。
それを拒絶するのは、泣いて頼ってきたこどもを足蹴にするようなものです。
子供が泣いてきたそんな時、薮田さんはどうします?
基本的にそんな時はただ抱きしめてあげるだけではないでしょうか?
それが安心感を与え、不安を取り除く一番の方法だからです。
そのあと、気持ちを共感するため、「こわい?」「いたい?」と気持ちを共感し、「どうしたの?」と調査的に原因を聞くのではないでしょうか?
この順番が狂うと余計泣いたりしません?
スズキはその順番が反対になり良く泣かしています。
患者さまに抱きつくことは出来ませんが、不安な気持ちを受け止めてあげることは出来るはずです。
まじめな人ほど、答えてあげようとしがちです。また、うそがつけないという気持ちも強く、そのため、自己防衛のために、シャットアウトしてしまいがちです。
それで、患者さまとの信頼関係は築けるのでしょうか?
患者自身、本当に答えを求めているのでしょうか?
その辛い気持ちを受け止めてあげることが大切で、「お辛いのですね。」とか「不安なんですね。」とか気持ちを受け止めた後、答えられることであれば、答えればよいし。
答えられないことは、診察の時に聞くように進めればよいと思います。
とにかく、気持ちを受け止めてあげること、これに尽きます。
> このようなことを考えていると発信するときっと賛同者が数多く出てくると思います。
そうあってくれることを望みます。 そうして放射線治療を選んだ結果に満足してくれた人が増えることも祈っています。
> 少しシリーズで作っていただけるとありがたいですが如何でしょう。
シリーズって、全体像があってそれを切り分けていくって感じじゃないですか?
今のスズキには、それはチョッと難しいです。
みなさん、どんなことに苦慮しているのでしょうね?
それが分かると、書きやすいのですけど・・・。
ところで、治療室で話が長くなると遅れて次の患者さまに迷惑がかかりそうですが、 むしろ、対応してくれるというのが分かると、次の患者さまも聞いてくるようになりますし、我々の対応が悪く遅れてすいませんといって謝れば、結構納得してくれるものだと思います。
独りよがりの文章を長々書いてしまってすいませんでした。
自分でも考えてみますが、何かテーマを与えていただけると、ありがたいです。
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Y:
原稿の件ですが、このメールのやり取りのような話を文章にすればみんなにいろいろ伝わるものになりそうだなと思いながら読ませてもらっています。
あまり学問として捕らえようとすると筆も進まないでしょうが、こんなことを知ってもらいたい、考えてもらいたいということが伝わればいいのでは、と思います。
このやりとり自体を文章にして取り上げましょうか。
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S:
自分の原稿に対して、さまざまな意見が寄せられることを期待しております。
よもやま話上で、治療技術だけでなく接遇に関しても、議論されることが、患者に優しい治療にむけての第一歩につながると思っております。
また、自分は産業カウンセラーでもあるので、昨年よもやま掲示板にも一度書き込みましたが、治療を担当している人達の中で、壊れてしまう人が出ないことを願っております。
その為、厚生労働省のHPを紹介しました。その時は、反応がなく無理している人がどのくらいいるのかが分かりませんでしたが・・・。
薮田さんも試してください。これは本人版と家族版があるので、自分の意見と家族の見方が違うことも再認識できてよいです。
アドレスです。
中央労働災害防止協会のHPの中にあり自動判定してくれますので、やってみてください。自分に優しくなれない人は、絶対他人に優しくなれません。
さらに、
〜だから頑張らなければならない。と思っているのにやる気が出なかったり、億劫さを感じている人。
あるいは、普段間違えないようなところで、間違いを起こしている人。 こんな人は要注意です!
そのまま無理していると、壊れてしまいます。
そんな人の相談にのれたらよいのですが、基本的に相談は非公開じゃないといけないので、無理ですね!
また、起きてほしくない事故に対する対応も知っていてほしいと思います。
これはハーバード大学で実際に医療事故が起きた時に使われるマニュアルを、東京大学のチームが訳したもので、一見の価値はあります。
その中に、忘れられがちな、事故を起こした本人のサポートに関してチャンと書いてあります。 スズキはこれを長野発で広めたいと思っています。
長々と、本題からはずれたことをズラズラと書いてしまいましたが、お許し下さい。
スズキのようなチョッとみなさんと違う方向を見ているものの情報も、素直に取り入れていただいて、ほんの少しでも視野が広がったと感じていただければ幸いです。
どうぞこちらこそ、よろしくお願い申し上げます。
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こちらが鈴木さんからいただいた原稿です。
患者さんへの対応について
深い関わりが治療を有効に進めた症例の紹介(最初にもらった原稿)
ご意見ご感想お寄せください。 katarou-kai@infoseek.jp